日本医科大学千葉北総病院
集中治療室(心臓血管外科専従)
診療看護師(NP)
若狭 竜太 Ryuta Wakasa
看護師から診療看護師(NP)へのキャリアパスを選択することは、医療界における革命的な一歩と言えるでしょう。
私が診療看護師(NP)を目指したのは、ただ単にキャリアアップを図るためではありません。
それは、医療現場における根深い課題に対する解決策を見出し、患者さん一人ひとりにとって最適なケアを提供することへの深い情熱からでした。
手術中で対応できない患者さんのために
私の診療看護師(NP)への道のりは、長年手術室の看護師として勤務した経験に始まります。
そこで目の当たりにしたのは、外科医が手術に集中できないほど、PHSへの問い合わせが絶え間なく続く状況でした。
これらの問い合わせは、入院中の患者さんの状態確認や診療指示に関するものが大半を占めていました。医師が手術に専念できず、病棟の看護師も適切なケアや処置を行うためには、これらの問い合わせが不可欠でした。
このような現場の課題は、医師のオーバーワーク、看護師たちの悩み、そして何よりも患者さんへのタイムリーなケアや診療介入の遅延につながり、医療や看護の質の低下につながる懸念がありました。私はこれらの問題に対して、ただ傍観するだけでなく、解決策を見出したいという強い思いを抱きました。
そして、その解決策が診療看護師(NP)にあると確信しました。
専門学校卒業でも進学できる
診療看護師(NP)は、看護師としての患者理解と医学的な臨床推論・症状マネジメントを兼ね備え、医療チームの中で役割を果たすことができます。
しかし、診療看護師(NP)資格を取得するためには大学院での修士課程を修了することが必須であり、私は専門卒で学士号を持っていませんでした。
それでも、インターネットや先輩大学院生から、学士号がなくても「学士と同等の能力があるとみなされれば受験資格あり」という情報を得て、受験に向けて一念発起しました。
医師が不在時も診療やケアを促進する
診療看護師(NP)としての私のビジョンは、医師が手術や外来で不在の際でも、病棟管理を行い、タイムリーなケアや診療介入を可能にすることです。これにより、医師は診療看護師(NP)にタスクをシフト・シェアすることで、自らの専門性を生かした業務に集中できるようになります。また、診療看護師(NP)が診療科と共にチームを組み、手術前・術中・術後を通じて患者さんを一貫してケアすることで、患者さんにとっての安心感や信頼感を大きく向上させることができます。
病院において初めての診療看護師(NP)
私が所属する大学病院では、診療看護師(NP)としての役割を担うのは私が初めてでした。
まさに新たな挑戦の立ち上げを行う必要があったのです。
既存のシステムに囚われず、イノベーションを起こして患者アウトカムを向上させることが私たち高度実践看護師の大きな使命だと感じています。
そして、グローバルな基準にも照らし合わせながら、自施設で診療看護師(NP)の普及を進め、医療提供の質をさらに高めていくことを目指しています。
夢は「なくてはならない存在」
このように、診療看護師(NP)としての私の夢は、医療現場において「なくてはならない存在」になることです。
医師、看護師、そして何よりも患者さんにとっての橋渡し、調整役としての役割を果たし、質の高い医療提供を実現すること。
それが、私が診療看護師(NP)になろうと決めた時に描いた“夢"です。
プロフィール
若狭 竜太(わかさ りゅうた)
2009年 看護師免許取得
日本医科大学千葉北総病院 中央手術室
心臓血管外科チーム
2017年 臨地実習指導者
2019年 周術期管理チーム(日本麻酔科学会)
ICLSインストラクター(日本救急医学会)
2020年 国際医療福祉大学大学院 特定行為看護師養成分野
2022年 看護学修士
日本NP教育大学院協議会認定 診療看護師(NP)
特定行為21区分38行為修了
特定行為研修指導者コース修了