日本NP教育大学院協議会が実施するNP資格認定試
験の合格者数は2018 年3 月31 日の時点で359 名であ
り,その数は増加を続けている.一方で,2018年12
月の時点で認定看護師は19,894名,専門看護師は2,279
名と両資格と比較をすると実数はもちろんのこと,実績
や知名度・社会的地位が十分に確立されたとは言えない
状況である.それ故に,各施設で活動をしていくうえで
様々な問題や課題に直面した時に解決の方法や手順,先
行事例が十分に蓄積されておらず,自ら考え,解決をせ
ざるを得ない状況である.
日本NP学会北海道・東北ブロック東北NP 研究会
(以下,本会)は東北6県(以下,東北地域)の診療看
護師(以下,NP)の活動を支援し,国内外における
ナースプラクティショナーの最新情報の提供や知識・技
術の向上に取り組んでいる.発足からの3年間に総会を
3回,定期勉強会を11回,ハンズオンセミナーを3回
行ってきた.これらの取り組みを振り返り,今後の展望
を述べる.
藤田医科大学では,2012 年より大学院で診療看護師(NP)養成を開始し,現在16 名の修了生がFujita
Nurse Practitioner (FNP)として大学病院で勤務している.2019年度より大学病院で大学院とは別の特定行
為研修の開講が計画されており,FNPも教育に携わる事が病院より依頼されている.NP大学院教育を行ってい
る同一施設で特定行為研修を修了した看護師(以下、特定看護師)養成の教育を行うのは全国的に前例がない.
筆者はNP養成大学院の担当教員をしている.教員の立場から、FNPに対して無記名で意識調査を実施し,特定
看護師養成の教育に携わるFNPの考えと,関わり方を検討した.意識調査の結果,研修を担当することについ
て「協力できない」が2名,「負担がない程度で一部協力が可能である」が14名であった.FNPは診療とFNP
の屋根瓦教育に力を入れたいと考えている.研修修了者として,特定看護師養成の教育に携わる事の必要性を感
じているが,業務に加わる負担は大きく,現状では同一施設での開設に困難を感じている.特定看護師の養成推
進の流れは強く,これに追従せざるを得ない病院の方針に反対できないと感じている事が分かった.また医学に
関する教育は医師が講義担当をする事が望ましく,特定行為実践に関してはNPも熟知しており,教育に携わる
事が可能である.
Key Words: 診療看護師(NP),特定看護師,特定行為研修,意識調査
【目的】
本研究の目的は,診療看護師の実践の語りから,患者の身体的側面だけでなく,心理的・社会的・スピリチュ
アル的側面への介入の実際を探索し,診療看護師による全人的アプローチを明らかにすることである.
【方法】
研究参加者は,診療看護師経験4年以上の2名である.研究参加者に対し,インタビューガイドを用いた半構
成面接法を実施し,分析は大谷のSteps for Coding and Theorization分析手法を参考に行った.
【結果】
分析の結果,抽出された概念は6つであった.
臨床で活動している診療看護師は【疾患だけでなく人としての全体像を理解する】情報収集をしていた.得た
情報から【医学的知識を根拠とした看護実践をする】【医学的根拠を含めた患者の思いを支えるチーム医療の実
践をする】活動をしていた.慢性期疾患と長期的に付き合っていく患者に対しては【患者と向き合い協働して疾
患管理をする】実践をしていた.また,家族への配慮として【患者・家族を中心に考えた看護実践をする】活動
を行い,実践の中にはこのような【治療への参加と看護実践をする】活動がみられた.
【結論】
臨床で活動する診療看護師の実践では,身体的・心理的・社会的側面を切り離すことなく患者の全体像を捉え
た全人的アプローチが実践され,ケアとキュアを統合した全人的アプローチの実践が行われていると考える.
Key Words: 診療看護師,全人的アプローチ,質的研究